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運のいい人の思考習慣とは。脳科学者・中野信子が解き明かす行動パターン

人生の歯車が噛み合う時期がある。反対に、何をやっても空回りする時期もある。運は偶発的なものなのか、それとも、自分の行動が引き寄せるものなのか。脳科学者の中野信子は著書『科学がつきとめた「運のいい人」』(サンマーク出版)の中で、

運は生まれつき決まっているものではなく、考え方と行動パターンによって変わると述べている。

運のメカニズムをより深く知りたい方へ——中野信子『科学がつきとめた「運のいい人」』」

環境や栄養状態ひとつで揺らぐ脳

人の脳には、マイナスの出来事が続けば「不運」、プラスが続けば「幸運」と捉える特性がある。思考や行動、感情、記憶、感覚、運動など心身の活動を司る脳だが、その脳自体は万能ではない。公平でもなければバイアスがないわけでもなく、環境や栄養状態ひとつで揺らぐ。

その脳の特性を知っているかどうかが、思考の使い方の分かれ目になる。

「自分は運がいい」と決め込む

根拠はいらない。過去に特別な実績がなくてもかまわない。

中野が指摘するのは、プラスの自己イメージがパフォーマンスに直接影響を与えるという事実だ。「自分は運がいい」と思い込むことで、ネガティブな出来事のとらえ方が変わる。対処の仕方が変わる。その積み重ねが、結果を少しずつ変えていく。

思い込みが現実を変えるのではなく、思い込みが行動を変え、行動が現実を変える。その順序が重要だ。

運は、キャッチしに行くもの

中野は、運はチャンスとも言い換えられると述べている。誰にでも公平に降り注いでいるが、見つける目があるかどうか、見つけても拾えるかどうかは、その人の思考パターン次第だと言う。

待っていれば運が来る、という考え方は、ここでは通じない。【チャンスを拾いに行く姿勢 】それ自体が、運のいい人の基本的な構えだ。

不運を、転換する

運がいい人と悪い人の違いは、遭遇する出来事の差ではない、と中野は言う。同じ出来事に直面しても、不運をより多く防げる人、あるいは不運を幸運に変えられる人が、結果的に「運がいい人」に見える。

ミスをしたとき、どう解釈するか。失敗を、次の判断材料として使えるかどうか。その習慣が、長期的に運の質を変えていく。

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苦手な人が持っているもの

人は自然と、似た価値観の人間と集まる。居心地がいいからだ。ただ、その快適さには代償がある。見える景色が、少しずつ均質になっていく。

中野が指摘するのは、自分が苦手とする相手ほど、自分とは異なる情報や視点を持っているという事実だ。その人を「活用する」という話ではない。ただ、遠ざけることで何かを見落としている可能性がある、ということ。

複数の視点を持つ人間は、単純に、気づける範囲が広い。

信頼は、長期でしか測れない

与える人(ギバー)と奪う人(テイカー)の話は、行動経済学の文脈でも繰り返し語られる。テイカーは短期で得をするように見えて、信頼のネットワークから少しずつ外れていく。人は相手の動機を、思っている以上に正確に読んでいる。

ただし、ギバーでいることは、無防備でいることとは違う。搾取的な関係に対しては、静かに、しかし明確に距離を置く。与える相手を選ぶのは、冷たさではなく判断だ。

品のある行動が、器を広げる

他者の成長を祈れること。短所より長所に目を向けること。誰かを助けたときにこそ「ありがとう」と言えること。

これらは道徳の話ではなく、自分の周囲の空気を変える、実際的な行動だと中野は言う。【外交性(積極的に動くこと)と開放性(新しいものを取り入れること)】 この二つが、運の器を物理的に広げる。

運は、待つものではなかった。自分の振る舞いが、時間をかけて形作っていくものだった。


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