正解を速く出す力は、なぜ値崩れしたのか。山口周『ニュータイプの時代』をもとに、問題の発見、意味の提示、という新しい評価軸を辿る。
この評価軸は、採用面接にも、社内の企画会議にも、個人が始めた小さな事業にも、同じ形で向けられる。
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独立研究者の山口周は『ニュータイプの時代』で、20世紀的な優秀さはすでに終焉を迎えたと書いている。
正解の値崩れ
山口が挙げるメガトレンドのひとつは、問題が希少になり、正解が凡庸になっていく、という変化だ。
この原稿も、移動中の電車でスマートフォンに書いている。調べれば、たいていの正解は数秒で出る。与えられた課題を速く正確に処理する能力は、人にも機械にも余っている。
従順で処理の速い人材が高く評価される構造は、そこで静かに値崩れを起こす。
問題を、発見する側に回ろう
正解が余っているなら、希少なのは問題のほうだ。山口はニュータイプを、問題を発見できる人と定義する。
ここでいう問題は、不満そのものではない。あるべき状態を構想し、現状との差分を言葉にできたとき、はじめてそれは問題になる。
構想がなければ、差分も生まれない。
未来を予測して当てにいくのではなく、こうあってほしいと言い切る側に回る。順序が入れ替わっている。
「役に立つ」から「意味がある」へ
飽和するモノと、枯渇する意味。
山口が並べたこの対比は、選ばれる理由の変化を指している。機能で差をつけられる余地は、年々狭くなる。
同じ性能なら、意味を持っているほうが手に取られる。ただ、意味は数値管理からは出てこない。
KPIは達成度を測れても、なぜそれをやるのかまでは測れない。
指標を並べるほど、意味は後回しになる。
直感を、論理の隣に置く
論理を捨てる話ではない。求められているのは、論理と直感の配合だ。
正解が出尽くした領域では、論理だけを積み上げた結論は、他人の結論と一致する。差がつかない。
違和感や美意識といった、言語化される前の反応を、どこで採用するか。根拠を示せない判断を、いつ通すか。
その判断そのものが、いま希少な技能になっている。
組織や状況から離れる能力
空気を読み、同調し、留まり続けることは、かつては誠実さの証明だった。事業の寿命が、働く人の職業人生より短くなった時代には、同じ振る舞いが別の意味を持つ。動けることは、逃げることと同義ではない。どこに留まるかを、選び直せる状態にしておく、という話だ。
アップデートという語は、一斉の切り替えを想像させる。実際に起きているのは、評価される振る舞いが少しずつ入れ替わっていく、緩やかな移動のほうだ。
新時代を生き抜くためのポイント
- 「役に立つ」から「意味がある」へ:モノが溢れる現代では、機能的な価値(役に立つ)よりも、ストーリーや共感(意味がある)が選ばれる
- 大量の試行錯誤:綿密な計画よりも「とりあえず試す」ことで、変化の早いVUCA(変動・不複雑・曖昧)な社会に対応する
- しなやかな撤退:人生の豊かさは「逃げる」巧拙に大きく左右されます。固執せず次へ動くフットワークが重要
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